さくらのマネージドサーバとKinstaの比較
さくらのマネージドサーバは、さくらのレンタルサーバーの中でも特別なホスティングプランです。今回は、KinstaのWordPress専用マネージドホスティングとさくらのマネージドサーバの特徴や機能を掘り下げ、それぞれを比較したいと思います。
さくらのマネージドサーバの概要
さくらのマネージドサーバは、ビジネスや個人のウェブサイト運営を支援するホスティングソリューションです。マネージドという名が示す通り、利用者がサーバーの運用や保守に費やす時間や手間を抑えることができます。
マネージドサーバの中身は細分化されており、「スモール」「ミディアム」「ラージ」という3つのプランの中から選択可能です。主な違いは、利用可能なストレージやメモリの違いにあります。
また、さくらのマネージドサーバは、サーバーのセットアップ、ネットワークの管理、セキュリティの監視など、複数の面での柔軟性を備えています。知識や経験次第では、これを使いこなし、自社サービスとの相性等を考えて運用することができるでしょう。
さくらのマネージドサーバとKinstaの機能
それでは、本題であるさくらのマネージドサーバとKinstaの違いを見てみましょう。機能や特徴を表で整理しながら見ていきます。
Kinsta | さくらのマネージドサーバ | |
---|---|---|
プラン価格 | 35ドル〜/月(5,315.94円〜)[2024.4.9時点] 年払いで約29ドル〜/月*1 | 7,485 円〜/月 |
初期費用 | 無料 | 17,600円 |
返金保証 | 30日間 (新規お申し込みのみ) | X |
プランの種類 | 10(+カスタムプラン) | 3 |
24時間年中無休のサポート | ✓ (ライブチャット、メール) | X (オペレーターによるチャット対応時間は平日の10:00~18:00) |
コアインフラ | Google Cloud Platform | 表記なし |
SSH接続 | ✓ | ✓ |
グローバルデータセンター | 東京と大阪をはじめとする37箇所 (サイト毎に選択可能) | 日本国内のみ (東京、大阪、北海道) |
帯域幅制限 | 制限なし(AUP内) | 転送量無制限 |
コンテナ技術 | 全プランで100%のリソース分離 | 表記なし |
サイト移行 | 無料 (専任エンジニアによる移行)*2 | X |
ステージング環境 | ✓ | ✓ |
無料のDDoS対策 | ✓ | WAFあり |
PHPバージョン | PHP 8.1, 8.2, 8.3 | PHP 5.2、5.3、5.4、5.6、7.4、8.0、8.1 |
無料のCDN | 260+以上のPoP(全地域) | 300GB/月まで |
エッジキャッシュ | ✓ | 表記なし |
無料のプレミアムDNS | Amazon R53 | さくらのDNS |
無料のSSL証明書 | ✓ (Cloudflare─ワイルドカード対応) | ✓ (Let’s Encrypt) |
死活監視 | ✓ (3分ごと) | X |
マルチサイト | Proプラン以上で利用可 | サブディレクトリのみ可(サブドメインでは運用不可) |
無料APM | ✓ (Kinsta APM) | モニタリングツールあり |
IPジオロケーション | ✓ | ファイルマネージャー使用 |
リバースプロキシ | ✓(有料アドオン) | X (自力での設定 ※サーバー管理権限がないため対応不可の可能性あり) |
Redis | ✓(有料アドオン) | X (自力での設定 ※サーバー管理権限がないため対応不可の可能性あり) |
多言語対応 | 日本語、英語、スペイン語、ドイツ語、オランダ語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、スウェーデン語、デンマーク語 | 日本語 |
さくらのマネージドサーバとKinstaの機能の解説
どちらもマネージドホスティングではありますが、その中身には違いがあります。続いては、両者の違いをもう少し掘り下げてご紹介します。
- さくらのマネージドサーバの月額費用は、7,485円からとなっています。一番安い「スモール」で7,485円、中間に位置する「ミディアム」で13,544円、最上位プランである「ラージ」で25,661円という価格設定です。Kinstaは、同じマネージドホスティングでありながら、月額35ドル(2024.4.9時点で5,315.94円〜)からと、さくらのマネージドサーバのスモールプランよりも安価です。
- さくらのマネージドサーバでは、いずれのプランを選択しても、初期費用として17,600円がかかります。Kinstaのホスティングプランに初期費用はありません。またKinstaでは、毎月または毎年の決済のいずれかを選ぶことができます。さくらのマネージドサーバでは、毎月、毎年に加えて、よりお得になる2年または3年ごとの一括払いも選択可能です。
- さくらのマネージドサーバでは、試用期間はありません。Kinstaでは、30日間の返金保証をご提供しています。またプランの切り替えも簡単に行うことができます。
- さくらのマネージドサーバでは、Let’s Encryptの無料SSL証明書を採用しています。Kinstaでは、通常有料であるCloudflare統合によるワイルドカードSSL証明書を無料で提供しています。
- さくらのマネージドサーバへのサイト移行には、ファイルマネージャーまたはFTPソフトを利用することができます。実際の操作は利用者自らで行うことになります。Kinstaでは無料のサイト移行サービスを提供しており、自分の手でファイルの移動などをすることなく、各種認証情報を共有するだけで、専任のエンジニアが移管作業を代行します。
- さくらのマネージドサーバのCDNでは、無料で利用できるリソースが月300GBとなっています。KinstaのCDNはプランごとに異なり、Business以上のプランでは、月400GB以上です。
- さくらのマネージドサーバのデータセンターは、日本国内の東京、大阪、北海道に設置されています。一方Kinstaでは、東京と大阪の2拠点をはじめとし、世界各地にあるデータセンターから任意の場所を選ぶことができます。
- さくらのマネージドサーバで対応しているPHPは、5.2、5.3、5.4、5.6、7.4、8.0、8.1です。Kinstaではセキュリティやパフォーマンスの観点から、古いバージョンはサポートしておらず、代わりに最新版、PHP 8.0, 8.1, 8.2にいち早く対応しています。
Kinstaの高性能ホスティング
2013年創業に創業したKinstaは、WordPress専用マネージドホスティング、静的サイトホスティング、およびアプリケーション&データベースホスティングを提供しています。Google Cloud Platform最速のC3DおよびC2仮想マシンを採用し、業界最高水準の速度、パフォーマンス、拡張性にこだわったインフラストラクチャが強みです。受賞歴を誇る高性能コントロールパネル「MyKinsta」や、世界37箇所のデータセンター、高性能CDN、エンジニアによる24時間年中無休のサポート体制、高度なセキュリティ保持誓約など、サイト運営の負担を軽減する数々の機能を追加料金なしでご利用いただけます。
また、Kinstaは堅牢なセキュリティ手順を確立し、長期にわたってこれに遵守していることを証明する、SOC2報告書を受領しています。Kinstaのセキュリティおよび信頼性の詳細はこちらをご覧ください。
まとめ
今回は、さくらのマネージドサーバとKinstaのWordPress専用マネージドホスティングを比較しました。どちらもマネージドという名にふさわしく、要件の厳しい、通常よりも多くのリソースや管理を必要とするサイトにぴったりのソリューションとなっています。
初期費用の支払いに問題がない、古いバージョンのPHPを利用している、マルチサイトをサブディレクトリで運用する予定、といった状況では、さくらのマネージドサーバは検討に値する選択肢でしょう。一方で、コンテナ化技術の採用、無料でのCloudflare統合、初期費用なし、ワイルドカード対応SSL証明書などをお求めであれば、Kinstaが優れた選択肢になります。
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